「ロスジェネの逆襲」はドラマでも話題となった大和田常務との戦いの後の作品で、最終回で半沢の境遇に対して不服に思った人も気になる内容ではないでしょうか。
今回の作品はドラマを見ていた人も原作を読んでいた方もスッキリする様な「完全勝利」を半沢が収める作品となっています。
その逆転劇をこれからお伝えしていきましょう。
*当記事にはネタバレが含まれています。ネタバレを知りたくない方はこの先は読み進めないようにしてください。
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「ロスジェネの逆襲」結末までの大まかなネタバレ
「ロスジェネの逆襲」は半沢直樹シリーズ3作目の作品であり、半沢直樹が大和田常務との戦いの後、東京中央銀行の子会社の
東京セントラル証券に出向してからの話になります。
その東京セントラル証券では半沢は、営業企画部部長として就任しており、業績が振るわないこの会社を再建する必要がありました。
そこにIT大手の「電脳雑技集団」の平山社長からライバル会社である「東京スパイラル」という企業を買収したいという相談を受けます。
この案件のアドバイザーに就けば、巨額の手数料が転がり込んでくる千載一遇のチャンスでありました。
ところが、平山社長に対しての提案が遅すぎたことから一方的にアドバイザー契約を解除されてしまいます。
会社の存続だけでなくこのチャンスを逃したことにより半沢にも責任を問われ、立場が危うくなってしまいます。
その断られ方に不自然さを感じた半沢は銀行員時代の同期、渡真利や近藤、苅田から情報を掻き集めた所、東京中央銀行がこの案件を卑劣な手段で横取りしていたことを判明しました。
さらに東京スパイラルの役員らが社長と経営方針を巡り決裂し、持ち株を場外取引にて電脳雑技集団に売却し、既に25%の株が所有され東京スパイラルにとって緊急事態となってしまいます。
最悪の事態を阻止しようとする東京スパイラルの瀬名社長は、新株発行とPC・周辺機器販売大手である「フォックス」にホワイトナイトとして登場してもらい、買収阻止を行おう、と大洋証券に提案されますが、決断を迷っていました。
そんな中、半沢の部下の森山は幼少期、同級生であった瀬名社長にコンタクトを取ります。
この二人の縁から半沢と瀬名社長も面識を持ち、買収阻止として行う予定だった新株発行の法的問題を指摘したことで信頼を得、東京セントラル証券は東京スパイラルのアドバイザーを任されることとなりました。
これがきっかけで買収戦争は東京セントラル証券と東京中央銀行という親会社・子会社での敵対勝負となっていきます。
東京中央銀行の計画では、大洋証券と結託しており、ホワイトナイトとして東京スパイラルを救う予定だった「フォックス」も、いずれは電脳雑伎集団に身売りし、電脳雑伎集団に傘下として入る予定でした。
そのため、「フォックス」にも融資する予定でした。
しかし、「フォックス」の債務状況悪化がマスコミに公表されてしまい、電脳雑伎集団の平山社長は、「フォックス」買収を拒否します。
その一方で買収を阻止するため、半沢は東京スパイラル・瀬名社長に「フォックス」買収を提案します。
提案内容としては、「フォックス」の子会社であるネット通販会社「コペルニクス」を傘下におくことで、東京スパイラルの検索技術により、
吸収合併によるシナジー効果を生み出せるということでした。
この提案を半沢はマスコミに公表し、結果、東京スパイラルの株価を急騰させたのです。
東京スパイラルの株価高騰を受け、東京中央銀行の伊佐山営業部長らは、買収に向けて、電脳雑伎集団への増資を余儀なくされました。
半沢が以前在籍していた営業第二部の内藤部長は、この増資に反対の立場をとっていましたが、証券部出身の三笠副頭取筆頭の根回しにより、
取締役会では賛成多数となる見込みでした。
増資が決済される可能性が高まることで東京スパイラルの買収に大手をかけた東京中央銀行でしたが、半沢は電脳雑伎集団を去った財務担当者のヒントをもとに、
電脳雑伎集団が子会社を利用し、粉飾を行っていることを見破ります。
電脳雑伎集団が、東京中央銀行にアドバイザーを依頼しなかったのは、その子会社への融資を受けていた事で、
粉飾を指摘される可能性があった為だとわかりました。
また、今回の買収を実行しようとしたのも、その粉飾を隠すためでした。
その電脳雑伎集団の粉飾の事実を、半沢は取締役会で伊佐山につきつけ、東京中央銀行の電脳雑伎集団への増資は中止となり、買収も失敗に終わりました。
結果半沢は、東京スパイラルを守ることに成功したのです。
伊佐山と三笠副頭取は、今回の半沢への恨みで半沢を電脳雑伎集団の再建のため、出向させるように根回しします。
しかし、中野渡頭取によって、粉飾を見抜けなかった責任をとらされる形で、伊佐山と三笠副頭取らは電脳雑伎集団へ出向させられ、
半沢は、再び東京中央銀行営業第二部 次長に返り咲き、「完全勝利」を収めて物語は終結するのでした。
「ロスジェネの逆襲」の感想
清々しいまでの半沢の完全勝利で非常にスッキリする作品でした。
最初は読んでいる間、買収は成功する兆しが見えてくるものの、物語が進むにつれて半沢が完全に片道切符の再出向が濃厚になってくる流れが不安で仕方がなかったです。
しかし、まさかの電脳の粉飾決済を半沢が見破り、買収計画頓挫の逆転劇で倍返しをするシーンは本で読んでいてもやり取りが鮮明に浮かぶ展開でした。
ところが喜ぶのも束の間、三笠副党首と伊佐山部長は大和田常務同様、とてつもない悪党振りを見せつけられました。
破綻寸前の電脳には既に1500億も融資しており、それを回収しなければいけません。
そこで誰かを電脳に出向させ会社を立て直さなければならないという流れになり、悪党二人は中野渡頭取に粉飾を見抜いたくらい電脳を熟知している半沢に任せてみてはと進言され、再び再出向の要素が出てきます。
半沢万事休すかと思いましたが、頭取が悪党二人に対して電脳を再建して少しは名誉挽回したらどうだと電脳への出向を言い渡します。
さらにその後、銀行の危機を救った半沢に頭取自ら営業第二部次長に戻すシーンがあり、ドラマの最終回を感じさせられる展開でした。
ドラマの最終回と展開は同じ内容にもかかわらず、人事は正反対で正義は勝つというヒーロードラマを感じました。
このように物語も非常に熱い展開でしたが、その内容をより引き立たせたのが今回初めて登場した森山の存在です。
森山は東京セントラル証券に新卒で入りましたが、時は就職氷河期(通称ロスジェネ世代)であり、会社も銀行からの出向の人間も誰も信じない人間でした。
しかし、半沢とタッグを組み東京スパイラルの買収阻止をする事で成長や仕事のやりがいを感じていきます。
この森山の感情描写やバブル世代とロスジェネ世代の考え方の違いが細かく描かれており、読み進めていくうちに感情移入させられました。
また、森山の思想や物怖じせず意見を言う姿勢が半沢に似ており「ロスジェネ世代の半沢」と言っても過言ではないような人物でした。
ドラマ化でもとても楽しみにできる人物だと思います。
総評して前作、前々作と比較しても劣らず一番読んでいて気持ちがいい作品だと感じました。
まとめ
仕事で日々苦労しているサラリーマンや人間関係で苦労している主婦をはじめ、誰が見ても気持ちの良い作品だと思います。
今回は以前の作品と比べ、完全勝利で終わる為余計にストレス発散にもなるでしょう。
また、今回も森山はじめ、個性的な登場人物が多数出てくるためドラマも期待できます。
原作・ドラマ含めて是非チェックしてみてください。